大津駅前のストリートファニチャー

滋賀県大津市の駅前にストリートファニチャーを設置する計画である。計画地付近の建物には、古い家屋を解体した時に出た柱や梁などの材料がかなりの数放置してあり、材料は廃棄を待つだけの状態となっていた。今回の計画の中でそれらの古材に新たな価値を与え、街の中で利用されるものに生まれ変わらせたいと考えた。

 

 長年に渡り建築の一部として役割を全うした古材は、割れ・反り・ねじれなどにより人工的には再現困難な様相となっていく。新材とはかけ離れた独特な魅力を放つ一方で、古材を製作に活用するとなると大変あつかいにくい。加工・接合・固定はもちろん、表面の仕上がりの品質を求めることも困難である。それゆえ古材をいざ活用しようとしても、ある程度形の整った材や、太さの近い材を選びとって使いたくなる。不揃いで変形した古材は”使いたくても使いにくい材”であるとも言える。そうした一長一短な古材の個性を、可能な限りポジティブに活かす方法を模索した。

 

 断面形状の異なる古材同士を組み合わせていくと、接合部分に段差ができてしまう。家具としての性能を確保するため、段差を解消するような接合方法が求められた。建築の断熱材として開発されたスタイロフォームは、その造形のしやすさから彫刻の型や建築模型など様々な場面で利用されている材料である。スタイロフォームをジョイントとすることで、古材どうしをシームレスに連続させることを考えた。スタイロフォームと古材を跨いでFRPを巻くことで、ジョイント部分の表面強度と接合強度を持たせた。こうして古材どうしを繋ぎ合わせることで、あり合わせの材料から製作に必要な長さ・形状の材料を造り出していく。古材に元からあるほぞ穴やボルト穴の跡など、家具として使用する際に支障となる凹凸はスタイロフォームで埋め、単体の中でも段差を解消していった。
 最終的なスタイロフォームの形状は古材どうしの断面形状から自動的に決定される。しかし、実際は施工者の加減によって曲線の具合などは変化するため、作り終えるまで完成形が予測しきれない。製作が進むにつれ、より完成形が予測できない=より複雑に変形している材料どうしを組み合わせてみたいという気持ちが高まり、結果として変形した材料が多く組み込まれることとなった。

 

 こうしてできた部材を用いて、ベンチやテーブルとして利用できるストリートファニチャーを製作した。古材の個性がスタイロフォームの形状にも現れ、家具全体を特徴づける要素となった。製作方法の工夫によって、単体としては魅力がない材や、他部材と組み合わせることが難しい材も積極的に使用することができる。本プロジェクトではその可能性を感じた。

 

 

Data
Client_Otsuekimae Shopping Street Promotion Association (大津駅前商店街振興組合)

Design and Fabrication_TANK
Place_Otsu-shi, Shiga-ken
Photo_Kenta Hasegawa
2021.11-2022.1