OPEN FIELD第1回企画展 _ 細くて、ふくらんだ柱の群れ ─ 空間、絵画、テキスタイルを再結合する

Forest of thin columns with a slight bulge-recombining space, painting and textiles
参加作家:中村竜治 (建築家) + 花房紗也香 (アーティスト) + 安東陽子 (テキスタイルデザイナー)
会場:オカムラ ガーデンコートショールーム
企画:五十嵐太郎 (建築史家)
主催:オカムラ
グラフィックデザイン : 山田悠太郎
施工:TANK
写真 : 中村竜治

<五十嵐太郎さんによるテキスト>
オカムラのガーデンコートショールームに、OPEN FIELDという新しい表現の場が誕生する。OPEN FIELDには、あらかじめ想定された形式ではなく、予期されない出会いや出来事が起きる原っぱのようなイメージを重ねあわせた。そこで3名の異なるジャンルのクリエイターに参加してもらい、絵画とデザインをともに体験してもらう風景としての空間をつくることを企画した。もっとも、絵画の作品が入るので、当然、壁がつくられるかと思いきや、中村竜治さんからは少しふくらんだ細い柱が林立する空間が提案された。したがって、画家の花房紗也香さんは、本展のための新作を描いた後、柱にその断片的なイメージを足していくというこれまでにない作業を行うが、こういう機会に挑戦してみたいとのこと。すなわち、通常の囲まれた「部屋」における展示ではなくなるため、「絵画」も解体される。また安東陽子さんは、これまで空間を仕切る柔らかい壁のようなテキスタイルの作品が多かったが、今回は柱頭にあたる部分を担当し、しかも柱を安定させるという構造の役割を果たす。これは彼女にとって初の試みである。今回のOPEN FIELDでは、空間、テキスタイル、絵画の関係性の組み換えが行われる。それも周囲と切り離された展示空間をつくるのではなく、いつもの部屋に特殊な柱の群れを挿入することで、見慣れた室内の風景を異化させる。一方で建築の歴史を振り返りながら考えると興味深い。例えば、古典主義の円柱は、柱身に膨らみ(エンタシス)があって、柱頭が分節されている。また中世の柱は多様な装飾をもっていたり、バロックにおいては絵画と建築が混交するような関係性をもつ。今回の試みは、こうした過去の事例に対する、21世紀的な表現かもしれない。